患者申出療養制度

 

こんにちは。

今回は患者申出療養制度についてです。

 

弟子

患者申出療養制度・・・?

師匠

うむ。公的医療保険も変わってきておる

 

2016年4月から「患者申出療養制度」がスタートしました。

これは患者からの希望によって、日本では承認されていない医薬品などと、健康保険が適用された「保険診療」を併用できる制度です。

 

日本はみんなが保険診療をうけられる

 

弟子

保険診療・・・?

師匠

公的な医療保険を使うことじゃ

 

いつも私たちが公的医療保険を使って受けている治療は「保険診療」といいます。

日本では1961年に「国民皆保険制度」が施行されました。
「必要かつ適切な医療は、基本的に『保険診療』で受けられるようする」というもので、どこの病院に行っても同じ金額で、平等な医療を受けられる様になりました。
患者はそれぞれ加入している健康保険により、かかった医療費の一部の負担で経済的にも安心して治療を受けられます。

弟子

かかった医療の一部で済んでるんですね

師匠

そうじゃ、年齢にもよるが3割だけの負担で済んでるんじゃよ

 

自由診療は原則禁止

弟子

公的な医療保険以外の治療もあるんですか?

師匠

自由診療じゃな

公的医療保険の適用でない治療のことを「自由診療」といいます。
「自由診療」は医療機関が独自に決めた金額で、健康保険は適用されず全額自己負担となります。

 

弟子

全額自己負担ですか?

師匠

うむ、そうすると経済的に恵まれてる人だけが受けられるようになってしまう

日本では原則として、「保険診療」と「自由診療」を組み合わせた「混合診療」は禁止されてきました。

「混合診療」を認めると、誰でも平等な医療を受けられる「国民皆保険制度」の主旨がずれてしまいます。
また「自由診療」が一般化してしまうと患者の負担が増加してしまったり、安全性も確認されていないような治療があちこちで実施されてしまったりというおそれがあります。

そのため、ひとつの病気の治療のなかで一部でも「自由診療」が含まれる治療を受けると、その他の健康保険適用だった医療費まで、患者は全額自己負担しなければならないというルールがありました。

がんの人が国内でまだ承認されていない治療をしたいと望めば、検査や入院など、本来健康保険が適用されるその他の医療費まで全額自己負担することになります。

 

弟子

どれくらいかかるのですか?

師匠

けっこうかかるぞ

たとえば、医療費の総額が100万円。
そのうち、20万円が「自由診療」、80万円が「保険診療」だった場合、「自由診療」20万円の全額自己負担ばかりか80万円の「保険診療」部分も全額自己負担となってしまいます。
健康保険が適用されなければ、お金のある人しか利用できないことになります。

 

先進医療は混合医療禁止の例外

弟子

先進医療ってありますよね?

師匠

あれは例外なんじゃ

「先進医療」は「混合診療」に近い考え方で、混合医療禁止の例外的なものです。
「技術や経験の豊富な厚生労働省が認めた特定の医療機関で、特定の最先端の医療技術を施した場合のみ、その費用を『保険診療』に追加できる」という制度です。

 

弟子

どういうことですか?

師匠

具体例をみてみよう

たとえば、医療費の総額が100万円。

そのうち、20万円が先進医療、80万円が「保険診療」だった場合、先進医療20万円は全額自己負担になりますが、80万円の部分は健康保険が適用され、一部の負担で済むというものです。

この制度を使えば、「保険診療」と併用して高度な医療を受けることができます。

ただ、対象の医療機関が限られている上に、実施までの時間が長くかかるなどの問題点がありました。
新たにスタートする患者申出療養制度は、こうした問題をうけた制度です。

 

患者申出療養制度

 

弟子

どんな制度なんでしょうか?

先進医療でない医薬品や治療でも一定条件を満たしたものについては「保険診療」との併用が認められます。
「自由診療」部分は全額自己負担ですが、「保険診療」部分は一部の負担で利用できます。
先進医療制度と比べて実施までの期間も短くなり、実施医療機関も増える見込みです。

 

・患者からの希望により、国が安全性などの審査を経て治療が受けられる

・国が安全性や効果を審査し、実施されるまでの期間は2~6週間
・前例のある薬・治療なら、身近な医療機関でも実施可能

 

一方でこの「混合診療」禁止の部分的解禁が、今後、私たちの医療費負担増加につながっていくことも懸念されます。

今後ますます、貯蓄や医療保険など、自助努力での備えが必要になってくることも考えられますね。

 

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